あなたを愛する者
「夕焼けにはまだちょっと早い時間だったな」
少し涼しくなった、夏の夕風が、髪を揺らす。
すごい眺め……。
泉屋に何度も足を運んでたのに、近くにこんな所があるなんて知らなかった。
「……先生、ここらへんのこと詳しいの?」
「いや、泉屋がこんな近くにあるなんて知らなかったよ。
でも、ここへは時々来るんだ。
大通りへ抜ける近道として使う人は多いみたいだけど、時間帯によってはほとんど人は居ないからさ。
煮詰まった時や、考え事、悩み事がある時、そんな時に来るかな。
教師って仕事も、色々大変なんだよ」
「……先生」