あなたを愛する者


「夕焼けにはまだちょっと早い時間だったな」



少し涼しくなった、夏の夕風が、髪を揺らす。







すごい眺め……。







泉屋に何度も足を運んでたのに、近くにこんな所があるなんて知らなかった。






「……先生、ここらへんのこと詳しいの?」





「いや、泉屋がこんな近くにあるなんて知らなかったよ。
でも、ここへは時々来るんだ。
大通りへ抜ける近道として使う人は多いみたいだけど、時間帯によってはほとんど人は居ないからさ。
煮詰まった時や、考え事、悩み事がある時、そんな時に来るかな。
教師って仕事も、色々大変なんだよ」






「……先生」





< 80 / 242 >

この作品をシェア

pagetop