あなたを愛する者
「杏の秘密基地じゃないけど、俺の逃げ場所……かな」
「逃げ場所?」
「そう、誰にもバレちゃいけないんだ」
そう言うと、振り返り、私を見つめた。
「……私には 教えてよかったの?」
「……そうだな」
そう言うと、先生は背を向け歩き出した。
先生……それはどういう意味なの?
オレンジ色の陽に照らされ、伸びた先生の影を追いかけるように歩く。
先生を好きなんて、有り得ない。
そう思う気持ちとはうらはらに、私の先生への気持ちは
どんどん加速していった。