オトナになるまで待たないで
店長は呆気に取られたようだったが、すぐにこちらへ向き直った。


「一緒に暮らすのか」

「そのようですな」

「昼、何食った?」

「ぎゅう…」

「パスタです!パスタ!ね?」


店長は不服そうな目で私を見た。

「タンパク質取れって言ったろ。次の検査は俺も付いて行くからな」


勘弁してよ。

来なくて、いいし。


「下の居酒屋に行って。マツイで予約取ってあるから」

「分かりました」

「あ、お友達は来られないよ」

「大丈夫ですぅ。私、この店で待ってますからー」


ということは……

私はさり気なく、妃乃に言った。

「ネットは使わないで」

「ん~?なんで?」

「身分証。持ってきてないでしょ」


妃乃は、すぐにその意味を悟った。

「うん。使わない」
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