オトナになるまで待たないで

同居

疲れた。

オバサンの言葉の数々が胸に突き刺さっていた。


「嫌な気分にさせたね」

部長が言った。

「あの歳になるとね、本当の意味で自分で自分の責任を取ることは、もう出来ないんだよ」


決して、私と目を合わそうとしなかったオバサンの姿が思い出された。


「僕もそうなるかも知れない」

部長が?

そうは思えない。


「ありがとうございます」

私は言った。


「松井くんは、明日の会議来るでしょ?」

「はい」

「じゃ、明日また話そう」



部長と別れ、私たち2人はエレベーターを待った。


上で待っているゴウと、顔を合わせるのが辛い。

泣くかも。



「私…後から行きます」


店長の返事も待たず、非常階段のドアを開ようとしたけど力が入らない。

店長が開けてくれる。

素早く中に入り込み、体重をかけて力任せにドアを閉めた。



階段を駆け降りる。


腕が痛む。

その場にしゃがみ込んだ。

涙が出た。


━━こんな子供に……親も来ないような……━━



声を押し殺して、泣いた。


「お盆には帰ってくるから」


そう自分に言い聞かせながら。
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