オトナになるまで待たないで
泣くだけ泣いたら、お腹が空いてきて、
私は立ち上がった。


ふらふらする……


壁に手をついて、深呼吸を繰り返す。

冷えたコンクリートの臭いがする。



泣いたけど、大丈夫。

そんなに腫れてないはず。



エレベーターを降りると、ゴウがすでに店の前で立っていた。

店長から話を聞いたのか。

そんな顔をしている。


「マジ、ハラヘッタ」


ゴウの表情が緩む。

「『お腹空いた』やろ」

「ヘッタ」

「もう…。店長さんに挨拶していかな」


会いたい気分じゃない。


「別にいいよ」

「いいことない。挨拶は人間関係のキホン!」


しぶしぶ店内に入る。


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