オトナになるまで待たないで
ゴウが顔を覗きこむ。

「海、どないしたん?」

「…寒いから、ダウンコート買おうか迷ってる。セールまで待ってもいいんだけどさ」

「あ!ウチ、着てないのあるよ?今度、持って来よか?」

「え!ホント?ラッキー!」

「可愛いけど、丈がハンパやねん」


私はこわごわ聞いた。

「この間のワンピースみたいなビラビラじゃないよね?」

「ビラビラちゃうわ!ヒラヒラやっ。似合っとったのにぃ」

「やだよ!若作りしたオバサンみたいだったじゃん!」

「まだ10代やろ!何言うてんの」


ゴウはゲラゲラ笑いだした。

「じ、実はオカンとこに、おんねん!ああいうオバチャン!」

「いるでしょ!?」

「せやから、ウチは着んとこ思ってん!」

「なに?それをアタシに着せてんの!?」


爆笑。


幸せ。

ゴウと一緒に居られるだけで、寒くない。
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