オトナになるまで待たないで
白い紙が、波間に揺れて小さくなっていく。


思い出していたのは、お父さんのことじゃなかった。




―おう!夏海、うめぇじゃねーか!―


あれは、お祖父ちゃんだ。


―さっすが、おめぇ漁師の孫だなあ!―



この海の河口で、

お祖父ちゃんと何度もハゼ釣りをした。


釣れることより、

お祖父ちゃんが喜ぶことが嬉しかった。

私が釣ったハゼをお母さんが天ぷらにした。

それを酢醤油につけて食べる。

お父さんの大好物だった。
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