オトナになるまで待たないで

当日、エンジントラブルで、私は他の人の船に同乗させてもらう事になった。


「本当に申し訳ないです…」

「いいのよ。あなたのせいじゃないの。気にしないで」

白髪の綺麗な女性だった。

他に30代くらいの女の人が二人乗っていた。


「娘の友達。うちの子、白血病だったの」

「うちの母もです」

「そう。まぁ…お母様。うちの娘と一緒なんてね」


なんだか誤解されてるけど、そのままにしておいた。


ポイントについた。

紙に包んだ骨をそっと海面に落とした。

「さようならぁ!さようならぁ!」


誰かの声が聞こえた。


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