オトナになるまで待たないで
王子は私に無視されたとでも思ったのか、

ムッとした顔をしている。


だけど、今朝の私はムッとしているどころじゃない。


全国不機嫌高校生ランキング第一位だ。


座った目で、王子を見返す。

王子は気圧されたように、表情をゆるめた。



「それ、どうしちゃったの?」

「……酔っ払いにやられた」


ぶっきらぼうに答え、再び歩き始める。

「ねぇ、乗る?」

「いい。朝練だと思うことにしたから」

王子が自転車を引いてついてくる。

「バスに乗らないの?」

「お金、もったいない」

「その髪もやられたの?」

「切ったよ。邪魔だから」

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