オトナになるまで待たないで
電車に乗って、途中駅で降りる。


「5時にはバイト先に行かないといけないんだけど」

「よゆうよゆう~。昼ご飯食べよ」

「安いとこにして」


牛丼屋に入った。


「バイト先って、賠償のことぉ?」

「うん。本人は来なくて、弁護士さんと奥さんが来るみたい」

「ウチ、弁護士の知り合いもいるから、なんかあったら言ってな?」

「うん」


王子は、本当に顔が広そうだ。


「アンタのこと、なんて呼んだらいい?」

「まぁ、とりあえずゴウでええよ」

「なんか変なの」

「よりによって『豪太』やもんなぁ。勘弁してほしいわぁ」
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