涙色の空をキミに。
「だからっ…!ちょっと聞いたの!夢空が誰かを探してるのに見つからないって…!」
「…ああ、そっち。」
キョトンとしていた私に痺れを切らしたように言った理緒の言葉に思わず納得の声を漏らす。
困ってるって、そっちか。
…確かに、一緒に探すって言った割になかなかいい方法が見つかってない。
まだこの日本のどこにいるかさえも絞り込めてなかった。
ていうかそれが噂になっていたって、琉空と結衣以外は知らないはずなのに。
そういえば結構前に、結衣が私の妹って理緒に知られてたからそこから伝わったのかな。
「…それで、それがどうしたの?」
なんてボーッと考えながら聞くと、理緒がこっちを見てまたすぐに顔を背ける。
「…別にっ!深い意味はないけど、夢空が困ってるなら、ちょっと手伝ってもいいかなって思っただけよ…!」
頬を少しピンクに染めながら腕を組んで言ったセリフは、勝ち気な理緒の優しさ。
目を見開いたのは私だけじゃなくて、その会話を聞いた人全員だった。
…今までの理緒は、絶対に人が困っていても自分の手をわずらわせたりなんてしなかったから。
初めて見た理緒のその表情に言葉を失っていると、不満そうに唇を少し突き出す。
「…なによ、嫌なの?」
「いや、嫌って言うよりもただ驚いちゃって…、ど、どうして?」
「だから深い意味はないって言ったでしょ!」
頭が段々冷静になって状況が理解し始めるとともに、口元が自分で緩むのがわかる。
理緒がさっきから恥ずかしそうにしているのは、きっと初めて誰かのために動こうとしてるからだろう。
…本当、理緒は変わった。