LOVE・ホテルに行こう。
『マンションまで送る』


食事が済んでこれで今日は解放されると思いきや田村君が言った言葉。


明日も仕事だしいいって言ったのに私のマンションまで送ると引かない。


意外と頑固者?


10分足らず電車に揺られ駅近くの私のマンション前に着く。


「ここ?」


マンションを指差して聞いてくる。


「そう」


「何号室?」


「教えない」


「…俺がストーカーになっていいわけ?美久が部屋に入るまで付いて行くけど。」


「‥03号室」


「えっ?聞こえなかった。何号室?」


「403号室」


さっきから田村君のペースになってる。
こんな性格だった?


会社での田村君はどこいったのよ。
真面目で誠実な可愛い後輩。


「言ってくれないの?」


「何を?」


「お茶でも飲んでく?って」


なっっ。


「飲みたいの?」


「いいの?」


「…やだ」


恋人になったからって。
今日、部屋にいれるってのはどうよ。


「…良かった。美久が断ってくれて。俺、今日暴走しそうだったし」


とっくに暴走してるけど。


「…美久」


後ろから抱き締めてきた。


「ちょっ。何してるのよ」


「…おやすみ」


一瞬だけ抱き締めて駅の方に歩いて行った田村君の後ろ姿を見ていた。


木崎さん、イメージ違い過ぎ。
田村君の言った言葉を思い出す。


ソックリそのまま田村君に言いたい。


『田村君、イメージ違い過ぎ』って。









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