LOVE・ホテルに行こう。
15分待っても田村君は降りて来ない。


エレベーターが開き走ってくる田村君の姿が見えた。


「待っててくれたんだ」


「…10分も15分も変わらないし」


フフッ。
いつもの田村君の笑い方。


「美久」


「…会社で下の名前、呼ばないで」


「みんな知ってるよ。美久が俺の彼女だって」


「会社は会社。彼女とか彼氏とか関係ない」


職場恋愛してる人は何組か私達の会社にもいる。結婚してる人も。


会社にプライベートを持ち込めれると周りが気を使う。だから会社では一同僚としていたい。


「わかった。会社出たら何言ってもいいんだね?」


会社から一歩出た瞬間に


「美久ちゃ~ん」


ギロッと田村君を睨む。


「木崎さん、怖いです。その目」


大袈裟な仕草で私の隣から離れる田村君。


無視して前に進む私の隣に駆け寄る。


「俺んち寄ってかない?」


ドキッとした。


「…」


すぐ返事が返せない。


「俺のマンション、歩いて20分くらいの所。
俺、ご飯、作るし…ね?」


「…」


「…何にもしないから、……ねっ?」


「…わかった」


また、田村君のペースにはまってる。
気を引き締めないと流されてしまう。






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