once again



ピンポーン


行きなれたはずの直汰の家が
すごく懐かしく思えた。



「笑佳…?なんで…」


出てきた直汰は目が真っ赤だった。

かっこつけてばかみたい。

本当は直汰だって寂しかったんじゃん…


「直汰っ」



あたしは直汰の胸に飛び込んで強く抱きしめた。


「ごめん、あたし、忘れたくて、変わりたくて、忘れて…」


自分でもなに言ってるかわかんないくらいだったけど、それでも直汰は話を聞いてくれた。



「直汰は、約束してくれたじゃん。最後まで一緒にいるって!なのに!なんで約束やぶんのよ!」


「それは…」


そう言って一度口を噤むと、あたしをまっすぐに見つめて話し出した。


「俺さ、アメリカいくの」

「え…」

「アメリカのでかい病院行って、でっかい手術すんの。この心臓を強くする」

「それって…」

「でっかい手術。だから、成功する確率も低いんだ。」


思わず俯く。


「だからさ、やっぱり、最後まで一緒にいるってゆーのは、俺のわがままになっちゃうんだ。だから…」


「直汰」


「直汰はあたしとの約束破ったよね」


「ごめ…」


「だから、あたしも約束破る。死んでも忘れてやんないから!ずっと覚えてるから!」


「笑佳…」


「彼女に辛い思いさせたくないって思うんなら、ちゃんと無事に帰ってきなさいよ!」


「ありがとう」


そう言って泣きながら抱きしめ合った。


今まで忘れててごめん。


なんでか、わからないけど、思い出せて良かったよ。神様、感謝してる。





ーーーそして直汰はその夜、アメリカへ向かった。


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