短編集‥*.°



マリネはただニコニコと、
頬を朱に染めて、微笑んでる。



「え、河端先輩が、マリネに?」



「うんっ」



フランス人形みたいな
可愛らしい顔立ちで、マリネは笑う。



ちょ、ちょっと待って…
状況をなんとか理解する。



アカネは河端先輩に告白されて、
付き合ってる…の…?



…なんなんだ、この気持ち。



…ドーンというか、バーンっていうか。



「アタシが熱心に河端先輩の試合とか
 応援しに行ってる事、
 知ってたらしくてね!

 少し気になってたんだって!」



…マリネの笑顔を見てると、
その気持ちは膨らんで行った。



…あ、
解ったこの気持ちの名前。



もしかして、これ…
俗に言う『リア充 爆発しろ』って
やつかもしれない。



箸でつまんだほうれん草を、
落としそうになった。



「明日にでも、
 ルミにも紹介するからね〜!」



そんな私の、
喜び難い微妙な気分に気づかず、
マリネはノロケ話を続ける。



「はぁ〜、
 毎日が恋色だよ!」



マリネまで、
鮮やかな色の中へ。



私といえば…。



あの、暗く濁った空みたいな色…
灰色の中で、何かをする事もなく…。



「やっぱり
 河端先輩ってかっこいいよね〜!」



…ただ、
向こう側に行った親友の話を聞くだけ。



…やっぱり、つまらないね…。



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