願い事叶えます



朝食も終わり、いつも通り大学に通学するための準備を始めた


ホシはそんなケンの様子を首をかしげてみていた


「どこかへお出掛けですか ?」


「学校」


「なるほどなるほど。いつもあなたは学校へ行くのですね。

いいですねえ。楽しそうです」


箒の上でホシは足をバタバタさせ微笑みながら言った


ケンは無言で準備を続けていたが、不意にホシを見上げた


「お前…まさか着いてこないよな…?」


「なに言ってるんですか。あなたはまだ私に願い事を言っていません。

着いていくに決まってるじゃないですか」


「止めてくれ」



自信満々に言うホシにケンは顔をしかめて言った



「なら早く私に願い事言ってみてください。」


「何回言えば気がすむんだ?願い事なんかねェって」



大きくため息をつきケンは家を出た


ホシももちろんそのあとに着いていく



「あなたは私の星に触れたんです。

星に触れたのならば願い事を唱えなければいけません。

なぜなら私の星は本当に願い事を叶えてほしい人のところにだけ現れるからです」



なぜか説教口調でホシはケンに説明した



「…じゃ、願い事ができたら呼ぶからそれまで消えてくれ」


「本当はそれでもいいんですけど私も暇なんですよねえ…」


「暇潰しかよ」



なんだかストーカーとかで訴えたら勝てる気がするぞ



ケンはそう思いながらふとホシに会ったとき居た白猫のことを思い出した



「そういえば…あの白猫は姿が見えないが…」


「ああ、あの子の名前はシロですよ。言ってませんでした?

シロはこの辺りを統べる野良猫協会の会長で、なんでもこの辺りの野良猫30匹を従えてるそうです」


「なんだそれ…」


「だから彼は普段は野良猫たちの所へ行っていていないんです」



適当に頷きながらケンは何故自分はこんな訳の分からない会話をしているのだろうと
ぼんやり考えた



「あっ」



突然ホシが声をあげ、それから嬉しそうに笑った



「…なんだ?」



ケンは怪訝に思いながら尋ねた



ホシは微笑を浮かべながら答えた




「人が″星に触れました″」






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