願い事叶えます
2週間前…
ケンが学校から帰る道のりでとんでもなく田舎だ
そもそもケンは都会なんかには住んでいない
ケンは歩いて通える距離の学校がよかったのだ
その歩いて通える距離の学校は田舎だった
だがまあそんなに不便でもない
夕焼けに反射する田んぼの稲がいい感じではないか
ケンはそう思いながら田んぼの横を歩いていると、
ふと田んぼの中で何やら大きな生物がうごめいているのが見えてきた
ケンはぎょっとして足を止めた
なんだこんな田舎のこんな普通の田んぼに何かデンジャラスな生物でもいるのだろうか
そっとあまり足音を立てずに近づいて行ってみるとそれは人間の女だと言うことに気づいた
「…え」
ケンは思わず瞬いた
その田んぼの中でじたばたとしている女はケンに気づくと、はっと顔を赤らめた
「あ!いや…その…!
べ、別に怪しいものではなくてですね…
ちょっと考え事してて、あー空が綺麗な夕焼けだなあと見とれてたら足を滑らしまして、右足から田んぼにはまりまして、何とか足を抜こうと思ったらなんかもう全身田んぼにはまってしまってですね、別にこういう趣味とか、そういうわけでは…!!」
女の長々した言い分けをケンはほとんど聞いていなかった
「…とりあえず怪我は?」
「はっ!あ、ない…です…」
「ほら」
そう言いケンは女に手を差し伸べた
女はおどおどとしながはその手に掴まり、何とか田んぼから抜け出した
「あの…!ありがとうございます!」
女は泥だらけの顔を赤く染めながら言った
「いや…礼を言われるほどでもねェから…」
本当に心からそう思った
田んぼにはまった女を助けない人はいないだろう
多分
田んぼにはまった女に遭遇することはほとんどないだろうが
おいけにはまったドングリじゃあるまいし
「1人で帰れるか?
なんなら家まで送ってくが…」
ケンがそう言うと女は激しく首を横に振った
「い、いいいいいえ!そんな!大丈夫です!」
「そ、そうか…」
激しく否定する女にケンは動揺しながらも頷いた
「じゃあ…気をつけて」
ケンはそう言い女と別れた
そうそれだけ
たったそれだけのこと