願い事叶えます




ケンとシロがそうやって話しをしていたとき







「うわああ!ちょっとミスりましたあ!」




そんな声が聞こえ、気づいたらケンは女の下敷きになっていた




「あ!ホシおかえり」



「ただいま帰りました!ちょっとワープの魔法試したくてやってみたらミスっちゃいました」



照れたようにホシは笑っていた









いや、そんなのどうでもいいから









「…ぐ…どけっ!」




ケンは未だにホシの下敷きになっていた




「あら!ごめんなさい!そんなとこにいたんですね!」





わざとか…!?



わざとやってるのか!?





ホシがようやく退き、ケンはため息をついた







きっとおれが願い事を言わない腹いせで今のやったんだ





「大丈夫ですか?」




ケンの不機嫌そうな顔を見て何を勘違いしたのかホシは心配そうにケンの顔を覗きこんだ





「お前今の絶対わ…」



わざとだろ、と言おうとした時今度はシロがケンの頭に飛び乗った




「それでホシ、ホシ兄のとこ行ってきたんだろ?どうだった?」




シロの問いにホシは軽く嘲るかのように笑った



「ふふ。思い出したくもありません。


でもわかりました」




魔女でもあんな顔をするのか…とケンが半ば感心しているとホシはケンの顔をじっと見た






「あなたに願い事の催促はやめます」




「え…」




突然言われたことに頭が追い付かなかったが徐々に理解できてきた












「ほ、本当か!?」




「ええ。だってあなたの願い事未来の願い事なんですって」




何だかよく分からないがこれで解放…!!





ケンはぐっと小さく拳を握りしめた






これで変な魔女から解放!


変な猫から解放!





万歳でもしたい気分だった





















「だからあなたが自然に願い事を言いたくなるまで、きなーがに待つことにします」







万歳!






おれが自然に願い事をいいたくなるまで








気長に…待…つ…?











ケンは一気に頭が冷めた







「え、いやちょっと待て。


つまり、これどういうことだ?」





「え?だから…私があなたに願い事を唱えろ、て言わなくなるだけであとは何も変わりませんよ?」





当然でしょ?と肩をすくめる彼女にケンは呆然とした












つまり






変な魔女から解放!なし




変な猫から解放!なし






「く…!」





ケンは頭を抱えた










どうやらまだこのへんてこな日々は続くらしい





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