願い事叶えます
願い事はありません


本井ケンは友人に連れられ出掛けていた


最近何かと嫌なことばかりあったので息抜きに、と思ったのだがどうも楽しくはない


嫌なこととは細かい事も入れたら星の数ほどあるだろう


例をあげれば、最近やっとできた彼女に振られた


だが10割自分が悪い


彼女を放置しすぎた


また、大学に今年入学してサークルに入ったのはいいが、自分以外幽霊部員だった


勧誘の時だけは真面目に活動していたらしい


ちなみに映画研究のサークルだった



特に映画に興味があるわけではないのだが



これ以上嫌なことを思い出すと憂鬱になる


もっと別の事を考えようと努めた


「おーい…ケン大丈夫かー?」


あまりに思い詰めた表情をしていたのだろうか


心配そうな顔をして友人が声をかけてきた



「あっいや大丈夫だ。悪い」


苦笑して大袈裟に手を振る


友人も曖昧に頷いた


「どこいく?どっか行きたい所あるかー?」


友人が尋ねてきたので、そうだなあと何気なく辺りを見渡すと、選挙のポスターが目に入った


別に珍しいものじゃない


ただそこに落書きがされていなければの話だ


これは…いけないんじゃないのか?


そう思いながらケンはそのポスターに近づいた


「ケン?どうしたんだ?」


友人が怪訝そうに尋ねてきた



「いや、落書きが…」


「落書きぃ?」


ケンは屈んでその落書きをよく見てみた


なんだ、よく見たらただの星のマークじゃないか


ケンは嘲笑気味に笑ったがふと、その星の隣にある文字が書かれているのに気づいた



『願い事を3回唱えてね』



「願い事…?」


ケンはその星に触れてみた


願い事…か















ないな





馬鹿らしくなり星から手を離した時だった





「えええー!!!?ないんですか!?」



驚いたような声が頭上から降ってきた



ケンは慌ててその声が聞こえてきた方を向いた



そこには、色々自分の目を疑いたくなるような光景が広がっていた



黒いトンガリ帽子を被った女の子が箒に乗り浮かんでいる



綺麗紺色の髪だったが、綺麗とかそういう問題じゃない





なぜ浮かんでいる



そして何だその格好は


ハロウィンにはまだ早いぞ



ケンは顔をしかめてその女の子を見た



「よーく考えてみてください!あるはずです。あなたの願い事!

私の星マークは本当に願いを叶えてほしい人のところにだけ現れるのです!


さあ!願いを私に唱えてください!!」



いや、願いを唱えろと言われても



色々怪しい





「ケン?本当にお前大丈夫か?ぼーっとして」


友人が心配そうにケンの傍までやって来た



「…この女の子…」



と言ってケンは浮かんでいる魔女のような格好をした女の子を指差した



「…はっ…?女の子?どこ?」



友人はきょろきょろと辺りを見渡した



どこって…目の前にいるだろ



「私の姿は今はあなたにしか見えていません。

ちなみに私の名前はホシ。ホにアクセントです。

以後お見知りおきを」


微笑を浮かべている少女は綺麗だったが一方で不気味だった


つっこみたいところがたくさんある



ケンが何も言えないでいると少女の肩に白猫が乗っているのに気づいた


「ああ、この白猫は私の相棒です。」



「いや、魔女なら黒猫だろ」



思わずつっこむと友人がぎょっとしたようにこちらを振り向いた







本当に彼には彼女の姿が見えていないようだ






だとしたら、かなりまずい




変人扱いされる






「わ…悪い!!急用を思い出した!!」



ケンは急いでその場を離れた



とにかく友人とこの奇妙な少女から離れたかった



「お、おいケン…?」



戸惑いながら友人はケンの名を呼ぶかケンは振り返りもせず早歩きで去った



後で電話で謝ろう



そう思いながらケンは今まで来た道を真っ直ぐに引き返していった





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