カメカミ幸福論
気になっていたのだ。だって、その後すぐにダンは姿を消してしまったから。おじいちゃんとの話は何だったのかって。
だけど祖父に直接きくわけにはいかない。第一、祖父はあの光と表現していて、ダンの姿は見えていないようだったし、神様だなんて思っていないはずなのだ。
チャンスが来たわ、私はそう思った。何の話をしていたんだろう?
ダンは私を真っ直ぐに見て言った。
「ムツミの祖父は――――――――後悔をたくさん持っているようだった」
「・・・は?」
後悔、ですか?
「それの処理に困っていたんだ。自分が今まで他人や妻、家族へしてきたことへの後悔を、年をとってから何度も思い出しては苦しんだらしい。これは罰なのだろうか、と聞いて来た。だから俺は記憶を消してやったんだ。長期間思い悩んできて、それでもう十分自分を痛めつけている。丁度俺がいたし、すぐに終わることだった」
私はぽかんとした。
まさか、そんなことだとは思わなかったのだ。祖父は厳しい人だったけど、それでも家族には頼りがいのある優しい人だった。過去に何かがあって、その後悔で長年苦しんでいるなどとは・・・。
「・・・それって何?」
ダンはにやりと笑った。
「教えな~い。・・・知りたければ俺と天上世界へくるんだな」
うう、ムカつく。一々交換条件を出してくるやつだ。まあ、きっとダンもそう思っているんだろう、私に対して。