カメカミ幸福論


 まだ暫く不機嫌な顔をしていたけれど、ダンもその内にため息をついた。

「本当に、全てに恐ろしい無関心だったものな~。こんな人間につくなんて、俺ってついてないって何度考えたか・・・」

「それは私にも言えるわよ。これだけの数の人間が世界中にいて、どうして私なの!そして、どうしてあんたなのよ?―――――――――まあ、とにかくいいのよ、今は」

 パッと手を振って、私は帽子を被りなおした。

 折角いいことを言っていたのに、やりなおしじゃないの、全く。

「とにかく、今では感謝してるのよ。私が・・・またこの世界を楽しめるようになったから」

 ダンは揺れる草を見ているようだった。

 青い空には所々に白い雲。歓声がまた上がって、それがハッとするほどの青に吸い込まれていく。

 ふう、と息を吐いてからダンが立ち上がった。

「観察はこれで終わりだな。俺は、今はめちゃくちゃな観察ノートだけど、それを何とかまとめて提出しなきゃならないんだ」

 どうやらもうすぐ天上世界へ戻るらしい。

 私は一つ思い出して、ねえ、と声をかけた。

「うちのおじいちゃんと、何話してたの?」

「ん?」

「ほら、実家に帰ったときに。おじいちゃんと二人で部屋にいてさ」

 ああ、とダンは頷いた。


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