カメカミ幸福論
私が適当にヒラヒラ手を振ったのとは結構な温度差で、美紀ちゃんはわざわざ立ち上がって礼をしている。
・・・ん?
私は目を瞬いた。
おやおや~?もしかして、うちの事務所が誇る優秀な事務員の美紀ちゃんたら・・・・あら~?
もしかして小暮幸久(30)に恋しちゃってる?おおおー!それは目出度い。小暮だって身長はそんなに高くはないけど日本人男性の平均身長はあるし、何より明るくて愛嬌のある男だ。清楚系美人の真面目な美紀ちゃんだとお似合いかも。うっふっふ~。
私が一人でニマニマしていると、美紀ちゃんがお弁当を食べながら言った。
「さっきまでは不機嫌だったのに・・・どうしたんですか、亀山さん?熱でもあるんですか、ちょっと気持ち悪いですよ」
その時、私の後ろであはははと明るい笑い声が聞こえた。気持ち悪いカメ~などと言って、神のクセにゲラゲラ笑っている。・・・あ、そうだ、ヤツがいたんだった。ちょっと兄ちゃん、折角の美形が台無しの笑い方だぜ。
私はすっかりその存在を忘れていた神に向かって、心の中で舌を出した。
夜。
また私のお城である6畳間にヤツを座らせて、私は大爆発をしていた。
「あんた口出さないって言わなかった!?言ったわよね、邪魔しないって!?」
ダンは座る姿まで端整で美しかった。ついでに言えば、その不機嫌な顔さえも世界中の美女や美男子がすみませんって逃げそうな綺麗さだった。