カメカミ幸福論


「俺は相手を大切にする。それに、美しいものは好きだし女性も好きだ。気に入った相手にはちゃんとアプローチをかける。そうすれば必ず相手も答えてくれたと言っているんだ!お互いに尊敬しあいながら付き合いを深める、その素晴らしさが判らないのかお前には~!」

「わっかんないわね~え。だって所詮神でもやることは同じなんでしょ?抱きしめて?チューをして?それから合体して、でしょ?」

「が、合体・・・!」

 ダンが、何と今度は赤くなった。恥かしいらしい。ヨロヨロと後ろに下がって赤くなった頬を押さえている。・・・えーと、そんなキャラだっけ、あんた?私はまさかの反応にちょっと呆れてしまった。

 偉そうで俺様だと思う時もあるのに、今は幼稚園児みたいになってるよ。もしかして多重人格なの、神って?

「え、もしかして神ってエッチしないの?そういえばどうやって繁殖するわけ?生まれるものじゃないならエッチもいらないわよね、そう言えば」

「ムツミ~!」

 何度もその言葉を言わないでくれ~!そう言いながら、ダンは両耳を覆って恥かしがる。

「あんた、大人なの、子供なの?」

 本気で呆れた。

 さっきまでの自信満々な態度の美形の男は姿を消して、うずくまって一人で照れまくっている。ああ、足でガシガシ蹴り飛ばしたい・・・。そしたらきっとヤツはコロコロと転がって・・・あの綺麗な金髪が床の上に広がって・・・うへへへ。私はその悪魔の囁きを無視するのに苦労した。

 ダメダメ、どうせ人間は神に触れることが出来ないそうだから。


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