エタニティ
「嫌われたと思ったから、連絡することも出来ないまま何年も経って。もう忘れかけたって時に、今度は坂野さんと会ってさ。はじめは話しを聞くだけで満足してた……数年前の同窓会の時、今度こそって思ったけどミチは来なかったし。
そのうち俺は転勤になって、よっぽどそういう運命なんだって諦めてたんだ。……でも、坂野さんから聞いたんだけど。……いや、正確には、聞けずにいることを聞いたんだけど」


そこで言葉を切ると、葉山君は緊張した面持ちで、私を見詰める。

私はその強い視線を外すように、カクテルを一口飲み込んだ。

今夜はソルティ—・ドッグの塩が、やけに塩辛く感じるなんて思いながら。

「ミチが今付き合ってるのって、他人に言えないような人なのか?」

私の胸がドクッと鼓動を跳ね上げた。

「えっ、それはどういう」

「……坂野さん、ミチが道ならぬ恋をしてるんじゃないかって、心配してた。もし、そうなら、俺に奪っちゃえって」

葉山君の言葉の意味を飲み込むのに、数秒の時間を費やした。

「……それ語呂合わせじゃないよね」

私の的外れの返答に、葉山君の口元が歪んだ。

「違うよ、ミチが不倫してるのかってことだよ」

智世にきちんと陽希の存在を話していなかったから、か。

智世に誰かと付き合っていると言えば、どんな人? に始まり、根掘り葉掘り訊かれるだろうことが想像できた。

そして世間の先入観で、心配されるということも。

それらを適当にかわす自信が無かった私は、お茶を濁すようなやり方をしていたのだから、そう勘ぐられても仕方がない。
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