エタニティ
「やりがいのある仕事をして……ハルが隣りにいて。要は、私の人生も捨てたもんじゃ無いってこと」

幸せだと口にしたら、その幸せが逃げていってしまいそうで、せっかく伝えようとした気持ちが早口言葉のようになってしまう。

「美知佳さん……可愛い過ぎ」

「男の人に可愛いなんて言われたの、ハルが初めてなんだけど」

自分の不甲斐なさを揶揄された気がして、思わずそっぽを向いた。


「……俺以外、要らないでしょ?」

陽希の熱い唇を首筋に感じて、体がすぐに熱くなる。

いつもより敏感に感じてしまう自分が恥ずかしくなり、くすぐったいと言いながら身をよじるが、陽希の唇は止まらない。

「ハル、もしかして酔ってるの?」

「うん、ベロンベロン」

「おわっ」

陽希が突然体を預けてくるものだから、私はラグの上に無残に潰された。

「美知佳さん、介抱してね」

私を組み敷いたまま囁く陽希の唇は、重なりそうで重ならなくて。

私はもどかしさを覚えて陽希の首に腕を回し、自分の方へ引き寄せた。

「んん……」

陽希の唇を自分のモノに出来ても、私の欲望は止まりそうにない。

彼はそんな私を抱き締めながら囁く。

「……美知佳さん、そんなに煽って良いの? ここで抱いちゃうよ? 美知佳さん、いつもシャワーがどうとか慌てるじゃない」

「シャワーは浴びたい。でも、ハルと一緒にいたい」

「……しょうがないな」

陽希のくっきりとした瞳が少し細められ、悪戯っ子っぽい表情に変わった。

その瞬間、自分の体の所在が分らなくなり、私は慌てふためいた。
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