素顔のキスは残業後に
「……」


あっ。私こそ、病人に声を張り上げちゃったし。


そんな私の勢いに負けたのか、柏原さんはそのまま何も言わずにキッチンを離れて行った。


うーわー、本当に大人しくなっちゃったよ。私が言い勝てるなんてありえないんだけどっ。

やっぱり相当具合が悪いんだ。
そりゃそうだよ。だって電話にも出れないくらいだもん。


この辺の薬局って何時までかな?

お粥を作り終えて、何とか間に合うといいけど…


卵を溶き入れながらそんなことを思う。
彼が用意してくれた器にお粥を盛って青ネギを散らす。


それをお盆に乗せてベッドルームに運んで行くと、彼はベッドに腰掛けながら書類に目を通していた。

その姿に自分の眉がピクッと吊り上り、慌てて彼に駆け寄った。
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