素顔のキスは残業後に
でも内面の弱さを簡単に見透かされてしまう私とは違って、

精一杯気を張って仕事をすすめる由梨さんに、憧れる社員もたくさんいる。



そんな彼女に忘れられない恋があるとしたら――

それはどんな恋で、どんな相手なんだろう?


ふと、そんなことが気になった。


そうして想いを巡らせていたのは、時間にしてほんの数秒だったと思う。

私の意識を引き戻す低い声が隣から聞こえた。


「あのさ……」


柏原さんは独り言のようにポツリ呟いたかと思ったら、何か迷うようにそこで口を閉ざした。


「どうかしましたか?」


また何か『良い物件探しのネタ』でも、思い出してくれたのかな?
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