素顔のキスは残業後に
「わっ、私――……」


私も――……好きです。


そう続けようとした言葉は、首筋を離れた唇が言葉ごと奪い去ってしまう。


柔らかな熱と角度を変えながら幾度も絡み合い、

呼吸が苦しくなると唇を引き離して、また見つめあって。

体を滑らかにすべらす指先に身につけている物を一つずつ奪われていく。


二人しかいない室内が甘い吐息で満ちた頃、

啄むようなキスから軽いリップ音を響かせた唇が引き離された。
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