素顔のキスは残業後に
なんで、このタイミングなんだろう。
何かを呪ってやりたい。
いや。その前に、だ!
「お母さんっ。来るならちゃんと連絡くれないと!」
「あら。ふたりっきりの家族なんだから、いーじゃない。
――って言いたいところだけど、ごめんなさいね」
お母さんは口元を手で覆いながら、テーブルを挟んで座る柏原さんにちらっと視線を流した。
電車で1時間半はかかる実家から、お母さんが突然やって来た。