素顔のキスは残業後に


柏原 柊司の運転で車は静かに動き出す。
タクシー代借りようと思ったのに『噂通り、面倒見が良かったらしい彼』は、車まで出してくれた。

「あのっ、本当にすみません。こんなことまでして頂いて」

「悪いと思ってんだ?」

「それは、そうですよ。こんな時間ですし」

「気にすんな。礼はちゃんと貰うから」

ふっと口元を緩ませ切れ長の瞳を斜めに向けた彼に、ドキッと心臓が跳ね上がる。

まさか高額なタクシー代を請求されちゃう? それとも「体で払え?」とか大人的請求されちゃう?
ははっ。ナイナイ。前者はあっても後者は確実に、ナイ。
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