素顔のキスは残業後に
まぁ、ついてない日ってあるよね。
ドラマのように「救世主の王子様現る」展開なんてあるわけがなかった。
だけど、柏原 柊司って人は無駄口を叩かず仕事をスマートにこなす姿が素敵とか、面倒見の良さから男性社員にも慕われてるって聞いてたんだけど。
なんか、ちょっと……いやかなり、噂と違った。
仕方ない。携帯でまだ起きてる友達を探してみようか。それか時間はかかるけど、歩いて行けない距離じゃないし。
心で愚痴りながらシミュレーションしていると、不意に目の前が暗くなる。
まだいたの、柏原 柊司!?
そんな叫びたい気持ちを抑えて、近づいて来た彼と距離を取った。
もしこの先社内で会うことがあっても変な噂を流されないように、とりあえず自己紹介……じゃない。身分を明かしておかないと。
やれやれな想いで名刺入れから名刺を取り出すとスッと彼の手が横に払われた。
「名刺はいらない。総務部の桜井 友花」
言葉を遮るように零れた低い声に息を呑む。
そんな心をも見透かすように彼は意地悪な顔を傾けて小さく笑う。
でもその瞳の奥は思いがけず優しいものを帯びていた。
ドラマのように「救世主の王子様現る」展開なんてあるわけがなかった。
だけど、柏原 柊司って人は無駄口を叩かず仕事をスマートにこなす姿が素敵とか、面倒見の良さから男性社員にも慕われてるって聞いてたんだけど。
なんか、ちょっと……いやかなり、噂と違った。
仕方ない。携帯でまだ起きてる友達を探してみようか。それか時間はかかるけど、歩いて行けない距離じゃないし。
心で愚痴りながらシミュレーションしていると、不意に目の前が暗くなる。
まだいたの、柏原 柊司!?
そんな叫びたい気持ちを抑えて、近づいて来た彼と距離を取った。
もしこの先社内で会うことがあっても変な噂を流されないように、とりあえず自己紹介……じゃない。身分を明かしておかないと。
やれやれな想いで名刺入れから名刺を取り出すとスッと彼の手が横に払われた。
「名刺はいらない。総務部の桜井 友花」
言葉を遮るように零れた低い声に息を呑む。
そんな心をも見透かすように彼は意地悪な顔を傾けて小さく笑う。
でもその瞳の奥は思いがけず優しいものを帯びていた。