素顔のキスは残業後に
『――俺だって、そんなに上手くやれてない』


彼だって特別なわけじゃなかった。

だけど弱さを認められる彼を強い人だと思った。


どんなに完璧に見えても、誰だって弱さを抱えているのかもしれない。


目の前でワイングラスを手に取りそれを流し込む由梨さんが、いつか酔いつぶれた彼女と重なって見える。


姉のように慕ってきた彼女に、

私がしてあげられることはこれから先も少ないだろう。


『迷ってる背中を押してくれるかなぁーなんて』


その言葉の裏に垣間見れた何かを

その迷いを吹っ切れるきっかけになれば――……
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