素顔のキスは残業後に
遠慮気に肩を叩かれた感触にハッと我に返る。
ぼんやりとした視界の先に見えたのは、困惑した表情の五月さんの姿だった。
「やった。3回目でやっと振り返ってくれたぁー」
「えっ。そうなんですか? すみません。気付かなくって」
「んーん。それはいいんだけど、何か顔色悪いよ。大丈夫?」
私の顔を斜めに覗き込む五月さんに、
「化粧品替えたからですかねぇ?」なんて誤魔化すように笑ってみせた。