素顔のキスは残業後に
止められない感情が指先へ震え伝わる。

胸の奥がひび割れていくのを感じて、この場所にこれ以上いてはいけない気がした。


俯いた視線を後ろに向ける。

その場を立ち去ろうとした。そのとき――



「来週の日曜日。同じ場所で柊司を待ってる」


強い意志を感じさせる声が、扉から流れ込む冷たい外気に溶けていった。


――――…



――…




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