素顔のキスは残業後に
何やら神妙な顔で私の名前を呼んだのは、美香ちゃんだ。


しまったぁー。

なんて声が聞こえきそうな顔を見せた彼女は、曖昧な笑顔を浮かべる。

その意味深な顔。すごく気になる。


「柏原さんが、どうかしたの。仕事でミスがあったとか?」


もしかして――……

ここに来てまたプロジェクトのコンセプトでも変わるなんてことがあったら、

今度こそ私が上層部に殴りこみに行ってやる。


そんな勢いを持った声を出すと、美香ちゃんは顔の前で手を振って慌てて否定した。


「あっ、仕事のことじゃぁ……でも、ナイショにしてくださいね?」


彼女はそんな前置きをしてから人差し指を唇に添えた。



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