素顔のキスは残業後に
「しっ、仕事もできないくせに。生意気な口を利くなっ」


度量の利いた低い声が頭の芯まで響く。

相手をひれ伏せさせたい想いがあるんだろう。

でも少し声がうわずっているように思えた。


私に言われたことで冷静さを取り戻しても、引くに引けなくなってるだけかもしれない。

式場にも迷惑を掛けてるし、私から折れた方がいいかもしれない。


そんなことを想いながら、私達のテーブルを遠目に見つめる式場の人へ視線を流すと


ドクンッ


息を呑むよりも先に胸が大きく震えた。

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