素顔のキスは残業後に
「――っ…」


「これ以上の話があるなら会社で聞きます。今日はプライベートで仕事ではないですし、自由にさせて貰います。

それでは失礼します」


抑揚のない声で淡々と言葉を続けた柏原さんは、部長に小さく頭を下げる。


離れてしまった私の手が引かれる。


式場の人が気を利かせてくれたのか

閉ざされた扉に向かって歩き出した私達の前に、強い靴音を鳴らした部長が行く手を拒むように立ちはだかった。



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