素顔のキスは残業後に
私を見つめる黒い瞳に問いかけた。


「由梨さんは、どうしてそんな嘘を?」


「そう言えば、もしもの可能性を考えた俺が桜井のとこへ行くって分かってたんだろ。

まんまと騙されたってわけだけど」


「そうなんですか」


だから、そんな嘘をついたんだ――……

由梨さんの深い悲しみに満ちた瞳を思い出す。

それ以上声にならない私に、柏原さんは言葉を続けた。

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