素顔のキスは残業後に
膝に落としたままの視線。

しばらく引き上げることが出来なかったけど、柏原さんの静かな声が引き上げてくれた。


「係長、桜井に電話するって言ってた」


「えっ」


「やけにすっきりした声で、そう伝えてくれって言われた」


「そう…なんですか」


「電話くるまで、ずっとそんな顔してるつもりか?」


そう言って瞳を細める柏原さんに小さく笑うと、柏原さんも笑い返してくれた。


「係長に電話したんだよ。待ち合わせ場所には行けないって。

本当はもっと早く返事をするつもりだったけど、

どんな答えでも今日まで待ってほしいって言われてたから……

それでさっき桜井と話をしたって聞いた。知ってたんだな。係長と、俺とのこと」

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