素顔のキスは残業後に
でも、それでもきっと――……

捻くれたことを返されちゃうんだろうけど。

そんなことを思いながら、いたずらっぽい笑みを浮かべた。


さぁ、どんな捻くれた言葉が返ってくるだろう。


胸を弾ませて答えを待つ私に、

柏原さんは聞き取れないほどの小さな声で何かを呟いた気がした。


結局私が期待していた捻くれた答えは返ってこなくて、柏原さんは何かを考えるように口を閉ざしてしまい、


もう何度目かの沈黙が流れる。


少し前のそれより息苦しさを感じないのは、どこか穏やかに見える彼の横顔のせい。


こうしてそばにいられること。

この時間がものすごく贅沢に思える。

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