素顔のキスは残業後に
呼吸が苦しくなる頃、

彼の唇が軽いリップ音を響かせて、また意地悪なことを囁いた。


「ガキじゃない大人の反応返ってきて、ホッとした」


そんな挑発的な囁きにさえ鼓動が加速してしまう。


体の熱を高めるキスの繰り返しで、こっちはいっぱいいっぱいなのに。

柏原さんは余裕げな表情で艶っぽく瞳を細める。


少し前だったら、きっと――……


反応を試すような意地悪な仕打ちだって思ったかもしれない。


だけどいまは、わかってる。

彼の優しさはいつも遠回りをして届けられるから。

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