素顔のキスは残業後に
少し離れたところから歩いて来る柏原さんに、五月さんは大声で呼び掛ける。

心底嫌そうな顔をした彼とテンションMAXになった五月さんをその場に残し、

今度は私が立ち上がろうとすると、



「おい。こんなの残して、先帰んな」


肩に掛けようとした鞄を思いっきり引っ張られる。


「すみませんっ。さすがにもう、無理で…」

「はぁ? こっちこそ何の無理ゲーだよっ」

「そうじゃなくて。そのっ、連れ…で、隣に来ますか?」


小声でおずおずと言った私に、柏原さんは無言で手を振った。



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