素顔のキスは残業後に
五月さんと二人っきりになって、
私達の出会いから食堂呼び出し事件の真相を説明すると、五月さんは「分かってるって」とカラッと笑った。
「まっ、そんなとこだろうと思った。でもさっき言ったことは本当だよ。
柊司って、あれですごい人見知りだし。
よっぽど砕けた関係にならないと、自分の素をさらけ出したりしないから」
「あっ。それは多分、私の『借金誤解事件』がよっぽどインパクトあったんじゃないかと」
「あははっ、確かに! そんな始まりだったら一発で砕けちゃうかも!!」
手を叩いて笑い出した五月さんは、
柏原さんが「いかに会社で猫を被っているか」を語り始めた。
ものすごく意外だったのは、
第一志望の広告代理店に入れなかった柏原さんが入社当初は仕事に意欲もなく、出世にもまったく興味がなかったこと。
「でも、アイツさー。なんかのタイミングで、『俺が会社を乗っ取る』ぐらいの、出世の鬼になっちゃたんだよねー。
それからだよ。
協調性のないアイツが上司とも上手くやるようになって、周りをよく見るようになったの。
まっ、多分。
隕石でも頭に落ちたんじゃないのかなー。よっ! お帰りー、隕石君!!」