素顔のキスは残業後に
そこで声のトーンを落とした美香ちゃんに、心の中でありがとうと伝える。


知りたくなかった真実はナイフのような鋭さで心をえぐった。

でも傷を負ったのは、ほんの一瞬。傷を負った痛みより彼女の気遣いが嬉しかった。


美香ちゃんが言うように確証はない。

だけどもし確信犯だとしたら、こんな露骨な嫌がらせをする人だ。

新たな被害者を出す必要はない。


そう思うと悲しみや怒りは不思議となかった。


ただ体のどこか。

何かの機能が途切れたように体から力が抜けて、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。




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