【B】姫と王子の秘密な関係



「音羽ちゃん、ずっと隠しててごめん。

 これからも早谷の人間としての俺は、
 音羽ちゃんを不安にさせることもあると思う。

 だけど……俺が全力で、君を守るから。
 だから傍に居ていいかい?
  
 時期が来たら、俺の早谷の一族にも紹介する。

 だけど……今の俺には、まだ力が足りない。

 だからもう暫く、俺と君の関係は
 早谷にとっては、秘密の関係にしておいてほしい」




晃介さんは、
そうやって耳元で打ち明けた。





あの日の晃介さんと今の晃介さんが違うのは、
きっちりと晃介さんの護衛が目に見える形で付き従っているということ。




「音羽ちゃん、今日の仕事が終わったら
 付き合ってほしいところがある」


突然切り出された言葉に、私は「何処ですか?」っと問い直すと、
「兄に逢ってほしい」っと、ゆっくりと告げられた。



晃介さんの家族に少しずつ逢っていく。




そうやって私たちの恋は、
これからもゆっくりと進歩していくのかもしれない。



「はい」




晃介さんの申し出に、ゆっくりと頷き返した。

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