【B】姫と王子の秘密な関係


さて、今日の準備は整った。


「さて、行こっか。
 和羽、今日も宜しく」

「うん、宜しく。
 音羽」


二人して事務所の扉を開けて出た時、


「「お疲れ様です」」


っと、交代前のメインスタッフ二人が挨拶をする声が響く。


二人、顔を見渡して『誰が来たの?』っと
ひそひそと声に出さずに問いかける。


すぐに姿を見せたは、
あの……営業さん。






チクショー、アンタのおかげで
うちのゴンドラは、死筋商品だらけだよ。

どうせなら、売れるもの
置かせてよ。






顔を見るだけでもイラっとさせてくれる
ソイツを小川SVを見ながら、
強制発注で取らされた商品の在庫を思い出して
肩を落とした。




「お疲れ様です」



和羽は、そんな私の気持ちを知ってか知らずか
何食わぬ顔で、小川SVに声をかける。


慌てて私もお辞儀をしたものの、
小川からの挨拶が帰ってくるわけでもなく、
その人は、無言で事務所の中へと入って行った。



「こんにちは。
 お疲れ様です」



そんな小川の後ろから、
声が聞こえる。




えっ?誰?



初めてみるその人は、
ゆっくりと私たちにお辞儀をして
事務所の中へと入って行った。





とりあえず小川に接触するしかないか。



この時間は、
お父さんもお母さんも店に居ない。



オーナーと店長が必要なら、
自宅から召喚しないといけない。



顔を見るのも嫌だけど、
そこはグッと握り拳を作って耐えながら
深呼吸。



「和羽、私はちょっと事務所入ってくる。
 先にレジ交代しておいて」



親友にそうやって告げると、
和羽はレジカウンターの方へと素早く移動していく。


最後にもう一度深呼吸をして
私は事務所のドアを開く。




「失礼します」



礼儀正しくお辞儀をして、
はらいたくない経緯をはらいながら。



「マネージャー、
 オーナーと店長は呼びますか?」



すでにストコンを触って画面を見つめてる
その人に、声をかける。



「あぁ」

マネージャーは、私の顔も見ずに告げた。


「連絡とります」



そのまま一礼して、事務所を出る。



あぁ、やっぱりのイラつく。

絶対、一発殴りたいっ!!
とっとと異動になればいいのに。





イライラしながら更衣室の方へ行くと、
更衣室に設置してある電話から、自宅の内線番号を押す。
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