【B】姫と王子の秘密な関係

10.迷宮の中の未来 ~彼女を知るために~ -晃介-



*


アキラさん




おはようございます。

先ほど、香寿から連絡があって
今日は約束コスが出来るようになりました。


動いてくれて有難う。


今日、お会い出来るの楽しみにしています。



乙羽



*



朝から届いたSNS経由のメッセ。



それは昨日の間に、
俺自身が香寿さんへ送信した願い事が聞き届けられたという
返事だった。


【動いてくれて有難う】


短いメッセージの中に閉じ込められた
真実に気が付いた彼女からの一言。


そんな一言が純粋に嬉しいとさえ感じる。


*


乙羽ちゃん



おはよう。

俺は何もしてないよ。

ただ……乙羽ちゃんのフレンドから、
香寿さんのところにお邪魔して、
俺の想いを押し通しただけ。


だけどいい友達だね。
香寿さんは。


今日、逢えるのを楽しみにしてる。


アキラ



*



そんな彼女にすぐに返事を送ると共に、
彼女の親友にも、SNS経由を通して感謝のメッセを送った。



夢の世界へ旅立つ前に、
現実問題として残るのは、各コンビニ店舗の現在の経営状況と
打開策の計画。


会社のデーターベースに早谷から与えられている一族専用の
IDとPASSコードを入力しながらに、
経営者としての知るべき情報を回収していく。



そんな社会人として、早谷一族としての現実課題は
着々と俺を取り巻き、そう言った現実から逃げ出すことすら出来ないまま
黙々とこなすべきことを成し遂げる。



結果を出さなきゃ、意味がない世界。

どんなふうに弁明しても、
それは決して通用することのない世界。

心の奥底では、ずっとそんなことはわかってる。



だからといって、
ただそれだけに支配されるのが許せないだけ。

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