Stray Love Ⅰ 〜ソラノイロ〜
ふと、我に返ると…

そいつらの姿はなかった。



ただ、さっきより小降りになった雨音
だけが、プレハブの屋根に響いた。



その雨音を聞きながら…

茫然と座り込む。




あ…


逃げなきゃ、

また戻って来るかも…



探した先に破れた服を見て、途方に暮れる。


下はショーパンだったから、破れてなかったけど、上半身ハダカで帰るわけには
いかない。


どーしよう…

なんか、大きな布とか…



見渡すと…

ロッカーの扉にスーツが掛かってた。


それに手を伸ばそうとして、
思わずためらった。


アイツらの服に助けられんのはイヤだ!



けど…

この蒸し暑さの中、
誰もスーツなんか着てなかったはず…



手に取ると、クリーニングのタグを見つけた。


アタシはその、工事関係者の備え置きっぽいスーツに身をくるんだ。


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