スタートライン~私と先生と彼~【完結】

宣戦布告

夏休みに入ったが、今日は朝から出勤。


暑い・・・最近では公立高校でもクーラーくらい整備されてるんじゃないか?

なぜうちの学校にはない!

蝉の声が、夏を感じさせる以上に、耳障りでしかたない。

若干苛立ちながら書類に目を通していると、中庭から賑やかな声が聞こえてきた。

「体育祭の練習か・・・」


体育祭の応援合戦の時の、チアの練習をしている。


応援団は男子生徒、チアは女子生徒が集まって応援合戦をするのは、俺が学生時代と同じだ。

あっ・・・原田。

一番に目に入って来たのは、髪を束ねて、紺色のTシャツが汗で色が変わるくらい、練習している俺の心を惑わす人物だった。


一生懸命に練習する姿をずっと見ていたい気がした。

彼女を見ている俺の頬は赤らんでいたに違いない。

俺の視線に気付いたのか、一人の女子生徒が、俺を呼び止めた。

「せんせー!全員で通すから、再生スイッチ押して〜」

・・・・・・・敬語を使えよ。


と思いながらも笑顔で答えてしまう。


「あぁ、いいぞ〜」


少なくとも原田の前では『優しい先生』でいたいからな。


みんな輝いてる。そして原田は一際輝いていた。

しかし次の瞬間、俺の顔は引き攣っていたに違いない。

応援団も参加し、男女ペアになり手を繋いでる。


もちろん原田も。



・・・・・・ありえねぇ。


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