スタートライン~私と先生と彼~【完結】
いい年して嫉妬してる自分が恥ずかしい。

年甲斐もなく嫉妬し、イライラしながら廊下を歩いていると、後ろから声がした。


「先生、さっきの練習どうでした?」


練習が終わり、首にタオルを巻き、片手にペットボトルを持った原田がニコニコしながら聞いてくる。


「あっ、お前もいたんやなぁ。よかったんちがうか?」


返答がおかしすぎる!

原田は一番前でいたし!気付かないはずがない・・・。


動揺しすぎて何を言ってるかわからなかった。


「せんせー!私、一番前で居てたのにぃ」

頬を膨らましながらも笑顔でそう言った。


怒った顔が、またかわいい。


ちゃんと気付いてたよ。

むしろ君しか見えてなかったし。


「先生、明日からも見ていただけますか?」


首を傾げながら聞いてくる姿に、俺の胸は一瞬にして射ぬかれてしまった。

「あぁ、いいよ〜。」


断わることなんてできるわけがない。

「じゃぁ、今度は私の事も見ておいてくださいね〜」

大きな目を細くし、ニッコリと笑い、走って行った。

『私の事も見ておいて下さいね』


・・・どういう意味だ?


そういう意味か?

って、どういう意味だ!!


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